なんか急性リンパ性白血病になった記

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急性リンパ性白血病の基本 1. 概要と化学療法

病気についてよく知らないひとにとって、このブログが何をやっているのかいまいちわかりにくいかもしれないと思ったので、見通しをつけやすくしたいと思ってとりあえず書いた*1。シリーズ化するかどうかは知らない。


白血病(leukemia)

  • 「血液のがん」
  • 遺伝子変異を起こした造血細胞(白血病細胞)が骨髄で自律的に増殖
  • 正常な造血を阻害
  • 名前とか
    • 白血病細胞が未熟な細胞からなるのが急性(acute)白血病 (A-L)
    • 白血病細胞が成熟した細胞からなるのが慢性(chronic)白血病 (C-L)
    • リンパ系の細胞が増殖すればリンパ性(lymphoblastic)白血病(-LL)
    • 骨髄系の細胞が増殖すれば骨髄性(myeloblastic)白血病(-ML)
      • 急性リンパ性白血病はALL

急性白血病

  • 急性白血病とは
    • 造血幹細胞に遺伝子異常が生じ
    • 分化能を失った異常な芽球(白血病細胞)が自律的に増殖する疾患
    • 進行性の悪性腫瘍
  • 最も顕著な病理学的所見
    • 骨髄及び他の組織に未分化な芽球が集積している

急性リンパ性白血病

  • サブタイプ
    • B-ALL:B細胞由来。約85%
    • T-ALL:T細胞由来。約15%
    • 形態学的には区別できない
    • 臨床的特徴・細胞表面マーカー・遺伝的特徴は異なる
  • 症状
    • 造血障害
      • 正常血液細胞の産生不良→貧血症状・易感染性・出血症状
    • 白血病細胞の臓器浸潤
      • 脾臓・肝臓の腫大*2、リンパ節の腫大
      • 中枢神経症状

「まれにリンパ腫のような所見の患者では、単一の長管骨の疼痛や皮膚病変を訴えることもある*3

  • 診断
    • 骨髄にリンパ性白血病細胞を25%以上認めれば診断できる*4
  • 主な検査異常
    • 白血球増多の事が多く、血液像で芽球を認めることが多い*5
    • 貧血、血小板減少が見られることが多いが、著明でないことも多い
    • 骨髄は過形成で白血病細胞がほとんどを占めることが多い
      • 時にdry tap のことがあるので、骨髄穿刺でうまく吸引できなかったときは生検が必要*6
    • 染色体異常・遺伝子異常
  • 予後を規定する因子
    • 年齢
      • 1歳未満ないし10歳以上が予後不良*7
      • 30歳ないし35歳以上が予後不良
    • 白血球数
      • 30,000 ないし 50,000 /μ l が予後不良
    • 完全寛解までの期間
      • 治療開始後4週以内に完全寛解となることが予後良好因子であるとの報告もある
    • 染色体異常
      • t(4;11)転座は、成人Ph染色体陰性ALLの予後不良因子

ALLの治療

  • 白血病の治療は
    • まず完全寛解に導入し
    • その後地固め療法、さらに維持強化療法を行なって
  • 白血病細胞の根絶を目指す

寛解導入療法

  • VCR*8, PSL*9, アントラサイクリン系薬*10が基本薬剤
    • CPA*11あるいはL-asp*12を加えることも

地固め療法

  • 寛解導入で使用しなかった薬剤を含むなるべく他種類の薬剤を組み合わせて使用

維持療法

  • 一般的には6-MP*13の連日経口投与と週1回のMTX*14の内服を2-3年継続する
  • 月1回PSLとVCRを加える成人プロトコールも多い

(支持療法)

  • 化学療法によって引きをこされる合併症を防ぐための療法
    • 輸血
    • 感染対策
    • 体液・電解質・酸塩基平衡管理

ALL小児プロトコールの成人への応用

若年成人では、小児プロトコールの成績が成人より優れていることが報告され、その理由として副腎皮質ステロイド薬(PSLなど)、VCR、L-aspなどのnon-myelosuppressive*15な薬剤量が多いことが指摘されている。

  • Huguet F, et al. (2009)
    • 小児プロトコールに似た治療法は、少なくとも45歳までの、成人ALLの成績を格段に向上させた
  • Storring JM, et al. (2009)
    • 小児プロトコールをやや改変した治療法は、成人ALLに適応でき、特に若年者では相当な効果をもたらした。L-aspを投与できるかどうかが抗白血病効果を上げるために重要と考えられた

JALSG ALL202-U プロトコール (25歳以下)

=「若年成人における初発ALLに対するわが国の治療法」
いまのところ、このプロトコールに基づいた治療を受けています。2009年の研究成果の知見に触れられるなんて、病気になったのが2012年でよかったなー。ラッキー。



ハーバード大学テキスト 血液疾患の病態生理

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EBM血液疾患の治療 2010ー2011

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血液疾患最新の治療〈2011‐2013〉

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病気がみえる 〈vol.5〉 血液 (Medical Disease:An Illustrated Reference)

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現場で役立つ血液腫瘍治療プロトコール集

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*1:結局別にわかりやすくはなってない気もする

*2:あった

*3:足痛かったのこれ?

*4:12/28時点では80%くらい→あ、白血病だ。

*5:認めた

*6:必要だった

*7:「予後不良」って競走馬のこと思い出してどきっとするよね

*8:ビンクリスチン、オンコビン

*9:プレドニゾロン、プレドニン

*10:テラルビシンとか

*11:シクロフォスファミド、エンドキサン

*12:L-アスパラギナーゼ、ロイナーゼ

*13:6-メルカプトプリン、ロイケリン

*14:メトトレキサート

*15::骨髄抑制性のない?