なんか急性リンパ性白血病になった記

金曜か土曜に更新 最悪日曜 というのは昔の話である。今は何かあったら更新

『32歳ガン漂流エヴォリューション』(奥山貴宏)読んだ

『31歳〜』のつづき。

この人の生きているうちにtwitterがあったら、超おもしろかったと思う。


書くことと精神的な安定を得ること

 無論、診断結果は自分自身にとってショッキングなものであるが、同様かそれ以上にショックを受けるだろう友人や親戚や知人がいる訳である。そのような人達のことを考えると、軽はずみなことはなかなか書きづらい。
 でも、実際に書いてみると、そのことによって気分がスッキリしたというか、何となく爽快ですらあった。これまでも、いろんな局面を迎えてはいろんな方法で対処してきた訳だけれども、日記を書くということが精神的な安定を得る唯一の手段である気すらする。
 悲惨な状況も日記を書き続けることによって、単なる日常になってくれるような、単なる日記ネタの一つになってくれるような、そんな気がするからだ。日常に起きるいいことも悪いことも含めたすべての出来事が、日記という表現手段を用いることで得体のしれないものからハンドリングしやすい言説に統合されるような、そんなイメージだ。

『32歳ガン漂流エボリューション』p. 19-20

書きたいことを書きたいように書きたい。

拡張された頭脳と身体

 現在のオレが多少はまともに活動できているのは、コンピュータとモーターサイクルという拡張された頭脳と身体のお陰だ。それらを使いこなすことによって、自分の肉体の不完全さやそれによって制限される活動範囲を人並みに保つことが何とかできている。
 大方の人たちにとってはバイクなんて眉をひそめる存在だろうし、人生に必要なモノとも思わないだろう。でも、ある人たちにとっては「車イス」のように身近で重要な存在になる場合もあるということを心の隅にとどめておいてほしい。

『32歳ガン漂流エボリューション』p. 70-1

インターネットがあってよかった。
自転車は好きだけどちょっと乗れない。貧血だし。バイクは持ってないし免許を持ってない。でも俺にはAmazonがある

健康がたいせつ

 結局、人間は生き物である以上、健康がすべて、肉体がすべてという気がする。
 (...)
 かといって、みんなに対して「タバコをやめましょう」なんて言う気はないけどね。タバコを吸って大いに健康を謳歌してもらいたいと思う。ただ、オレがいるところでは吸わないでくれ、とだけお願いしたい。

『32歳ガン漂流エボリューション』p. 300-1

俺は肺ガンじゃないから、俺がいるところでも遠慮なくタバコ吸ってほしい。けど病院敷地内は禁煙。

クララ

 こういう病気になると周りが心配してくれて、クララの車イスのごとく次々と楽な道が現れる。でも、その車イスに乗ったら、ラクだけれども歩けなくなってしまうのだ。そういう風にスポイルされていくと、最終的には自分では何もできなくなってしまう。そうならないためにも、可能な限りギリギリでやっていくしかないし、(...)

『32歳ガン漂流エボリューション』p. 352

筋トレしよ。

カロリーメイトゼリー

 カロリーメイトゼリーがなければ、死んでいたのでは?とすら、思う。ホントになんにも喰えない、という状況になってもカロリーメイトゼリーだけは喉を通るからね。カロリーこそおにぎり1個分しか摂れないけれども、栄養のバランスは取れているし。
 現在、アップル味しか出ていないんだけれども、願わくば他の味も出してほしい。

『32歳ガン漂流エボリューション』p. 235

こう書かれてから10年が経とうとしているのに、まだ、アップル味しか出てない。大塚製薬がんばれ

カロリーメイト ゼリー(アップル味) 215g×24本

カロリーメイト ゼリー(アップル味) 215g×24本


人間の欲望なんてキリがない

 人間の欲望なんてキリがない。70歳まで生きれば、80まで生きたくなるだろうし、1億円貯金できれば1億5000万貯めたいと思うのが人間だ。70歳まで生きたから「オレはもう満足じゃ」なんてことにはならないし、1億円貯金できたから「オレももう十分に金持ちだから、もういいや」なんてことにはならないのだ。70歳で死ぬ人間は71まで生きた人間を妬みながら死んでいくし、1億財産がある人は、1億より少しでも貯蓄のある人を妬みながら生きていくのである。一生。全くもって、キリがない。

『32歳ガン漂流エボリューション』p. 399

長生きしたこともないし金持ちになったこともないのでわからん。想像力の欠如著しい。

へぇ

 それでは、自宅以外の巨大な施設はどれくらいの電気を使っているのだろうか?オレが入院したり通院したりしている、K病院の年間電気使用量はいくらだろう。(...)
 一体それはどれぐらいの電気なのだろう?2000万円?5000万円?答えは年間2億7000万円だ。月当たり2250万円の計算になる。

『32歳ガン漂流エボリューション』p. 111

余計なお世話野郎について

 読者などから、肉は喰うなだの、砂糖は摂るなだのいろいろとありがたいアドバイスを頂くのだが、こういう人たちは食欲が全くなくなって何も口に入らないという状況を体験したことがあるのかね。

『32歳ガン漂流エボリューション』p. 85

奥山、下手くそ検査技師にブチギレ

 確かに、オレの血管は刺しづらいのかもしれない。だからといって失敗してもいいということにはならないだろう。
 彼だって、検査技師になりたいと思うぐらいだ。きっと人のために役立ちたいと思っている心優しい青年なんだろう。週に一度、疲れているのに町工場で働く彼女とデパートの屋上で慎ましいデートをしているのかもしれない。地元で高校に通う妹のために、少ない給金の中から実家に仕送りをしているのかもしれない。友人としても信頼に篤く、どんな相談にも気軽に乗ってくれるのかもしれない。勤務態度も無遅刻無欠席で同僚の信頼も篤いのかもしれない。
 でも、針がまともに打てないなら消えろ。
 (...)
 何となくノリで検査技師になろうとしただけで、人の役に立とうという気持ちなんてさらさらない。決まった彼女はおらず、デートと呼べそうなのはキャバクラの同伴出勤。キャバクラ代と競馬で首が回らず、サラ金から矢のような催促が来ていて、決してコンドームは使わず、今まで3回堕させているけれども全部バックれ、30過ぎて実家に無心して絶縁されていて、セクハラ発言をして、女の子のおしりを触ってヤニだらけの下卑た笑いを浮かべて、月曜の午前4時にはポンプを握りしめたまま、浴室に全裸でぶっ倒れているような男。
 それでも、常に針は正確に打つ!
 これがプロってもんじゃないのか!?オレはこういう検査技師を望む。

『32歳ガン漂流エボリューション』p. 193-5