なんか急性リンパ性白血病になった記

金曜か土曜に更新 最悪日曜 というのは昔の話である。今は何かあったら更新

『33歳ガン漂流ラスト・イグジット』(奥山貴宏)読んだ

読んだ

『ガン漂流』3冊め。4月で終わる(ネタバレ)
読み進めるにつれてまとまった文章が減っていく。で、あっさり終わる(ネタバレ)
最後にはご両親の文章「謝辞」「サイボーグ母として」があって、初めて別の視点が導入されるので新鮮。
エンターテインメント的にいちばん面白いのは『32歳』

ノマドとシェルター

 あと、面白かったのはあるソフト会社の話。ここはオフィスすら持たずに、なんとカフェをオフィス代わりに使って活動している。しかも、カフェはバリスタがいる本格的な店で (...) ネットにはもちろん、無線LANで接続。
(...)
 通常事務所なり、部屋なりを借りて「やっと独立した!」となるのだが、彼らにとってはそれすらも時代遅れなのかもしれない。
(...)
 こういったノマド的な生活に憧れつつも、実際には「シェルター願望」の方が遥かに強い。

『33歳ガン漂流ラスト・イグジット』pp. 42-4

当時(2005年)にしては斬新、たぶん。「シェルター願望」については下に引用。

(...) 5.5畳ぐらいの空間に机、ベッド、スライド本棚、19インチのテレビを乗せたAVラック、ターンテーブル2台にミキサーなどを置いていた。自由に使える空間はそれこそ畳1枚分ぐらいしかなかった。(...)
 でも、かつて住んでいたその狭い部屋のことを懐かしく思い出すことがある。(...) 狭いから掃除もラク。ユニットバスも機能的だし、エアコンの利きもいい。机に座っていても、ベッドに寝ていても、すぐに何にでも手が届く感じだ。
 (...) むしろ、部屋は仕事や都会のノイズや興奮から逃れるシェルターとして機能していた。狭くて空間は限られているけれども、機能や環境は高度にコントロールされている。物件の場所も環七から少し入った狭い路地にあったので、ほとんど車が入ってくることもなく静かだった。だから、シェルターとしては最高の環境だった。
 (...)
 ここ10年くらいは利用していなけれども、カプセルホテルもキライじゃない。あのプラスティックで作られたユニットやマウントされた照明やテレビもSF的で素晴らしい。
 これらの感覚、シェルター感覚とでも呼ぼうか、
 (...)
 バックパックにアイテムを入れて、イヤフォンで音楽を聴き、ニットキャップを目深に被った若者。彼は恐らく自分の部屋の快適な環境をそのような形で持ち歩いているのだろうし、第三者であるオレに対して強いシェルター感覚を感じさせた。
 (...)
 「子宮回帰願望」っていうのは、(...) 快適な場所であるという部分こそ「シェルター願望」に似ているけれど、それ以外の部分は違っている。
 まず、「シェルター願望」においては、外界のノイズこそ遮断したいけれども、外界との連絡インターフェースは保持したいと考えている点だ。一見、外観 (sic.) から遮断されたような狭い空間に身を置きながらもケータイやコンピュータ、カーナビなどで常に外とのコミュニケーションは怠らない。本来は大きな空間(仕事部屋)、大きな装置(デスクトップコンピュータや机)で行なっていた作業を、ちょっと静かな寝室のベッドでケータイとノートPCで行う。こういうのもオレが言うところのシェルター感覚だ。(...)
 入院中のベッドなんかは、それこそ病室中ノイズや悪臭に満ちている最悪の環境だ。それでも、ノートPCで音楽を聴いて、カーテンを引いたりすることで「シェルター」を作り出すことができる。
 うるさいカフェなんかでも、ニット帽を被ってPCで音楽を聴いてネット接続をすれば、すぐに「シェルター感覚」を得ることができる。
 (...)
 ネットワークやテクノロジーの進化で「孤立しながらも孤立しない」という状況が作れるようになった。今後はそういったモノ達によって新たに生み出された環境や空間をいかに楽しんでいかに利用していくかがカギになると思う。

『32歳ガン漂流エヴォリューション』pp. 164-71

ネットは便利

 よく書いているけれども病気になったからこそ、こういうサービス*1の利便性やありがたみが痛いほどよく分かる。また、こういったサービスやツールを使いこなすことによって、オレは不完全な身体ながらも、何とか人並みの生活が送れている。

『33歳ガン漂流ラスト・イグジット』p. 144

1文字2バイトからの存在証明

 最低、一文字でもガンエヴォ*2に書き込んでさえいれば、生きているといういうのが分かってもらえるのだ。文章を書くことが自分の存在証明だとしたら、一文字2バイト単位からそれを表明できるなんて、なんて素晴らしいことなのだろうと思うよ。

『33歳ガン漂流ラスト・イグジット』p. 87

そうかもしんない

 今の時代我々はもしかしたら、マンガやゲームをより深く楽しむための知識を得るために学校に勉強しに行っているのかもしれない。

『33歳ガン漂流ラスト・イグジット』p. 216

天才

 常に逆さでもかけるパワータンクボールペンが枕元のランプにヒモでくくりつけられている。あと、ゴムで手帳が同じようにくくりつけてある。
 (...)
 何か思いついたとこやメモりたいときにすぐに手帳とペンをたぐり寄せることができるし、要らなくなったら放り出せば勝手に所定の位置に戻る。なんか、自分でも凄いシステムを構築してしまったような(笑)そんな気持ちになっている。

『33歳ガン漂流ラスト・イグジット』p. 157

ネットサーフィン(死語)

 この日も昨日に引き続き、リビング・デッド状態。
 午前中に目覚めてからも、延々寝床でネットサーフィン(死語)。ところで、ネットサーフィンに代わることばってなんなんだろう? なんていえば、ダサーってならないんだ? 誰か知ってたら、教えて欲しいね。

『33歳ガン漂流ラスト・イグジット』pp. 110-1

いまだにいいことばがない
ネットサーフィンに変わる言葉を教えて下さい - Yahoo!知恵袋



33歳ガン漂流ラスト・イグジット (ポプラ文庫)

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ヴァニシングポイント

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*1:ここではツタヤのDISCASのこと

*2:ブログのこと