白血病の本を読もう その1-9 木崎(2009) pp.135-140 化学療法の看護3 出血傾向とか
正確性はいっさい保証しません
急性リンパ性白血病を中心にやります
わからないところとややこしいところは飛ばします
化学療法の看護のポイント(つづき)
出血傾向
白血病自体や抗がん剤によって起こる血小板減少、播種性血管内凝固症候群(DIC)により、患者は出血傾向に陥る。血小板 10,000/μ 未満では、内臓出血のリスクが高まる。
- 看護のポイント
- 血液検査により血小板数・凝固データを確認し、輸血のスケジュールを把握する
- 患者の出血傾向や出血の有無を確認する
- マンシェット、駆血帯の使用は短時間とし、皮下出血を避ける。採血、観血的処置の後に止血の確認を徹底する
- 凝固異常がある場合、筋肉注射は重篤な深部出血を起こす可能性があり避ける
- 脳出血の予防のために、水分摂取や下剤の使用を検討
- 肛門部の損傷を予防するため、グリセリン浣腸を避ける
- 転倒、打撲防止のための行動制限、環境整備を考慮する
- 出血時には速やかに適切な対応を行なう
貧血
原疾患と、抗がん剤による骨髄抑制により、貧血を生じることが多い。歩行時、体位変換などによる動悸、息切れ、めまい、安静時の易疲労感、倦怠感、頭痛などを自覚し、進行すると心不全や呼吸困難に至る場合がある
- 看護のポイント
- バイタルサイン(頻脈、呼吸数増加、血圧低下)と倦怠感、動悸、息切れ、めまい、頭痛、ふらつきなどの自覚症状を確認する
- 血液データ(赤血球数、ヘモグロビン)と赤血球輸血のスケジュールを確認する
- 安静度について主治医と相談し患者の理解を得る
口内炎
頻度の高い合併症。苦痛のため経口摂取が行えず全身状態の悪化を招く場合や、白血球減少時には重篤な感染源になりうる。
- 看護のポイント
- 粘膜障害時には柔らかい歯ブラシや綿棒を使用する
- イソジン液によるうがいを食後、就寝前など時間を決めて行なう
- メソトレキセート、メルファランなど一部の抗がん剤投与中は、氷による口腔内冷却が有効(クライオセラピー)
下痢
化学療法の内容により、粘膜障害で1日に何回もの水様性下痢を合併する場合がある。脱水状態を確認し、輸液の必要性などを検討する。
白血病治療中には抗生剤使用頻度が多く、Clostridium difficile による偽膜性腸炎を合併することがまれではなく、培養検査の結果を確認し、適切な対応が必要である
- 看護のポイント
- 下痢の症状、回数を把握し、脱水症状の有無を確認する。バイタルサイン、体重の変化を観察する
- 血清Na, K, Cl, BUN, クレアチニン、総蛋白、アルブミンなどにより脱水や栄養障害の進行を確認する
- 点滴や高カロリー輸液などを検討する
- 便培養を提出し細菌感染や偽膜性腸炎の可能性を検討する
脱毛
化学療法を開始すると10-20日後に脱毛がはじまる。通常は可逆性の副作用であり、治療終了後通常3-10ヶ月程度で再生する。
- 看護のポイント
- 脱毛後の毛髪は速やかに処理し、環境汚染を防ぎ、清潔を保つことを指導する。